簿記1級と公認会計士試験の難易度を比較してみた。

2020年5月19日火曜日

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簿記1級は、「税理士試験や公認会計士試験の登竜門」と言われることがあります。
そこで、会計士試験の1次試験に受かった筆者(現在、論文を控えています)が、これについて論じてみようと思います。

はじめに

簿記1級は市販のテキストと問題集を持っています。会計士試験は予備校のテキストと問題集を持っています。
簿記1級は受けたことがないので、問題集や過去問をある程度みた感じで述べています。本気で解いたことはないので、実際に解いてみたらなにか違う、とかはあるかもしれません。

試験科目

簿記1級は、
・商業簿記
・会計学
・工業簿記
・原価計算
の4科目が試験科目です。

一方、公認会計士試験は、
・財務会計論
・管理会計論
・企業法
・監査論
・租税法
・選択科目(基本的に、経営学)
の6科目が試験科目です。

簿記1級の商業簿記・会計学は、財務諸表論に内包されます。
また、工業簿記・原価計算は、管理会計論に内包されます。
つまるところ、財務会計論と管理会計論は、簿記1級と被ります。これらについて以下で比較していきます。
下4科目は、簿記1級では出てきません。ここはもう比較のしようがないですね。会計士試験のほうが4科目分増えます。
特に租税法は、財務会計論と同じくらいのボリューム感で、かな〜〜〜り重いです。勘弁してほしい。

計算の難易度

財務会計論は、簿記1級よりも2段階くらい深いイメージです。
まず、会計士試験では、連結会計・企業結合会計がとても重要です。1次試験は毎回のように連結会計の総合問題が出ますし、2次試験では計算問題の半分が連結会計・企業結合会計から出ます。
よく出るうえ、内容も簿記1級の内容よりかなり深いです。これらの論点は、簿記1級の知識量では満足な点数は取れないと思います。
一方、他の論点(リース、税効果、減損などの個別論点)は、簿記1級よりも1段階深い知識が必要かな、という印象です。
リースを例にとってみます。簿記1級ではリースでの借手の論点が主で、リースバックや貸手の論点はサブ論点(載っていないことはないと思いますが、余力があればという感じ)だと思います。
会計士試験では、このような簿記1級でサブ論点だったところも当たり前に出てきて、解けないと時に致命傷になります。
総合的に見ると、2、3段階深いかな、と思います。
(ちなみに、簿記でよく出るらしい特殊商品売買は、会計士試験では時間がかかるので捨てです。特殊商品売買については、簿記のほうが深い知識が必要だと思います。)

管理会計論は、簿記1級よりも1段階くらい深いイメージです。
会計士試験にだけあって、簿記1級で対応できない論点はもちろんある(財務分析、資金管理など)のですが、基本的に、簿記1級の知識があればだいたい解けるレベルにはいると思います。
せいぜい、1段階深いくらいだと思います。

理論の難易度

財務会計論も、管理会計論も、簿記1級よりも2段階くらい深いイメージです。
簿記1級は計算問題が主ですが、会計士試験では会計学の中でも理論問題が4〜5割くらいの配点を占めます。
また、簿記1級は穴埋めがメインですが、会計士試験では文章を丸ごと覚えていないと解けません。
1次試験では、「〜〜〜という処理をする。」まるかばつか?といったようなものが合計40あしくらいでます。
2次試験では、なぜこの会計処理をするの?この論点のメリットは?といったような。
簿記1級でもやる計算についての理論なのですが、簿記1級の気持ちで理論を解こうとすると、やや詰まるでしょう。
以上より、理論については、簿記1級よりも2段階くらい深いかな、と思います。

問題数と時間

一概に比較できないですが、簿記1級よりも2段階くらい深いイメージです。
簿記1級は各科目90分あります。すべての問題に手をつける時間があり、それを前提に正確性を競います。
一方、会計士試験はすべての問題を解く時間がありません。
特に1次試験で顕著ですが、どれを解くかという取捨選択が必要です。解けないものを捨てた中で、1つの計算問題を長くとも5分以内に解く必要があります。
取捨選択をミスって3分くらい解いてしまって「あ!これ解けないやつだ!」となったときの焦りといったら。思い出すだけで震えます。
2次試験では、膨大なデータから必要な情報を抜き出して、ぱっぱと解いていく必要があります。1次試験は「見たことあるようなデータの範囲内で、強弱がある」のですが、2次試験は「この指示は、何?」からはじまります。問題文が見たことがない形式ばっかり。
時間がシビア、情報量の多さという点で、会計士試験のほうが2段階くらい深いかな、と思います。

その他の比較

簿記1級は、商会と工原の点数比率が1:1ですが、会計士試験は2:1となります。
商会が得意な人は、会計士試験でも有利です。

結論

簿記1級を勉強し終わった段階では、会計士試験の財務会計論や管理会計論の7割程度は勉強が終わっている状態といえる、と思います。
会計士試験も勉強の大半は会計学に取られますから、簿記1級が終わると会計士試験の勉強にスムーズに入れると思います。

おわりに

他の記事にて、会計士試験における各科目の勉強法を書いています。
よかったらみていってください。

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